7035 and factory
~上場企業トップの成長力、先行投資こなして更なる成長へ~

【企業概要】
2014年9月創業、今期で5年目。スマートフォンアプリ事業とIoT事業の二本柱。「日常に&を加える」をスローガンに、高度のUI/UXを提供する点に強み。

【マンガアプリは今期より新規2アプリ配信、新たな提携も】
スマートフォンアプリ事業において、同社の主力事業となっているのがマンガアプリ事業。スクウェア・エニックスが持つマンガコンテンツを配信する「マンガUP!」、白泉社が持つマンガコンテンツを配信する「マンガPark」のアプリ制作、広告配信、運営を手掛けている。
競合する他社は数多くの大手出版社からマンガ販売を受託し、サイトやアプリ内で出版社・タイトル関係なく販売するのに対し、同社は出版社ごとに専門のアプリを制作・配信する点が異なる。
そうすることで過去に連載された大型のマンガタイトルは出版社より無料で配信(広告を見ることで無料となる一方、1日で読むことができる話数には制限)しつつ、一気に作品を見たい場合は有料となるビジネスモデルを確立した。
マンガUP!は特に好調、足元で500万ダウンロードを突破。2アプリ合わせてMAU(月間アクティブユーザー数)も2018年8月現在、255万と業界でも3位の位置についている。
同社は、マンガアプリの配信を開始した後、ダウンロード数を増やすための施策として、配信開始から半年程度、前月の利益の100%を当月の広告費に計上している。マンガUP!においては、前期の第2・第3四半期にこの施策を実施し、第4四半期以降に500万ダウンロードを突破、今期よりいよいよ収穫期入りとなっている。
これら2アプリが好評を博したことで、集英社およびビーグリーとの業務提携が実現し、11月1日には集英社の少女コミック「りぼん」等に掲載されたマンガを主体とした「マンガmee」の配信開始が予定されている。(ビーグリーとの協業におけるアプリは今冬)
さらに、もう1社との提携を近日中に予定しているとのことで、前期2アプリであったマンガアプリが、今期中にその2.5倍となる5アプリの体制が整う。
特に今上期は前述のような広告戦略をとるため、利益が出にくい状況が続くが、下期以降に収益化し、更に来期には5アプリ全てが収穫期入りするものと考えられる。

【IoT事業はホステル事業を皮切りに多面的展開が期待される】
もう1つの柱であるIoT事業は、家電(エアコン・テレビ・照明・カーテン・ドア)などをスマホやタブレット1つで操作が可能となるアプリを手掛けている一方で、これらを活かし、外国人観光客が格安で宿泊可能なホステル(「&ホステル」)を展開している。
&ホステルは中古ビルなどをホステルに改装し、IoT化を施した(プロデュース)うえでオーナーに売却したうえで同社が運営を行うビジネスモデルで、前期末までの2年間で6施設の開業、年内にさらにペースをあげ3施設の開業を予定し、下期も積極的に開業を行うとしている。
特に、自社で土地を手当てし、開業までを一気通貫で行った場合には売上高・利益率ともに高くなる傾向にあり、前期は第4四半期で一棟(売上高5.1億円)、今期も第4四半期に予定している。
宿泊業はIT化が遅れている点に着目し、宿泊者の予約・管理を行うソフトウェア「innto(イントゥ)」、また客室内の照明やテレビリモコン操作、宿泊約款、周辺の情報などを網羅したタブレット「tabii(タビー)」を市場に投入した。InntoはUSEN子会社アルメックスが、tabiiは現状東京電力エナジーパートナーとの業務提携により販売を行っている。
以上のようなIoT事業を今後同社は宿泊のみならず、横展開を図るとしている。
まず、家庭においてはNTTドコモと行ってきた「未来の家プロジェクト」の実証実験をもとに、本格的に事業を開始した。
今後は大学やオフィスへと順次展開し、将来的にはスマートフォンアプリ事業を越える事業に育てていくと同社はしている。

【今期は40%の営業増益でも投資期間、来期は更なる飛躍へ】
同社は、過日、デロイト トウシュ トーマツ リミテッド 日本テクノロジー Fast50」において、過去3決算期の収益(売上高)に基づく成長率 514%を記録し、9位にランクインした。上場企業においてはトップで、群を抜く成長率であることが証明された。
前期(2018年8月期)は売上高19.1億円(前々期比2.8倍)、営業利益3.65億円(同+63.7%)であった。続く今期(2019年8月期)は売上高30.7億円(前期比+60%)、営業利益5.1億円(+40%)を同社は予想している。
手掛けるマンガアプリの数が2.5倍となる一方で、広告宣伝費を積極的に投下するため、売上高の大幅な増加に対して利益の伸びは鈍化する。すなわち今期は先行投資期間にあたるにも関わらず、それでも今期40%の営業増益を見込むことができる点は大いに注目に値するだろう。
参考として、来期(2020年8月期)の業績予想につき、同社の上場前にリリースされたみずほ証券レポートでは営業利益11億円、純利益7.35億円、一株利益154.7円を予想している。来期EPSに対する現在の株価から算定される予想PERは30倍を大きく下回る。同社の株価が非常に割安ということが言えるだろう。
また、IoT事業に関しても過去2年間開業していたホステルの開業ペースも加速させるうえに、前期に市場投入したinnto、tabiiの収益貢献、そして実証実験を行ってきた家庭用IoT事業の本格展開から創業から4年間、猛烈な成長を遂げてきた同社の快進撃は更に加速していくものと考える。